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チョコタフと異世界への冒険

チョコタフが好きなゲーム・舞台・漫画・アニメ他への愛を語る場所。目指すのは究極のオススメ集。

演劇「ハイキュー!!」“勝者と敗者”千秋楽までの感想~キャスト編~

ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」“勝者と敗者”について、前回は内容や演出について語ったので、今回はもう少し細かく各キャラクターを触れたいと思います。

前回の記事:演劇「ハイキュー!!」“勝者と敗者”千秋楽までの感想~演出編~ - チョコタフと異世界への冒険

ハイキュー!!』の世界で生きている人たち 

舞台上ではキャラクターがそれぞれの物語を生き、『ハイキュー!!』の世界を作り上げてくれて、とても感動しました。

今回は印象に残った何人かをピックアップして書きたいと思います。

 

◆小坂涼太郎 as 月島蛍

私はハイキューの中で、月島が一番好きなので、理想も一番高かったかもしれません。ここまで見てきて思うのは、こんなに愛すべき月島になっているのは、小坂くんからなのだなという事です。

月島は飄々として掴みどころがない。クールという程、スカしていないし、ギャグも言う。挑発にものるし、田中先輩に悪ノリしたりもする。山口くんにはキツくあたるけど、それは二人が築いてきた時間のうえで成り立っているもの。しかし、先輩に弱い。旭さんには意外と本音を話す。

青城戦時点での月島像はこんなイメージだったのですが、よくよく考えてみると、すごい面倒なキャラクターなんですよね。一筋縄ではいかない。

 

しかし、小坂くんはその月島の掴みどころのなさを、本当によく身にまとっていたと思います。

試合に出られない山口に当たってしまった場面で、自分の失言に気づく瞬間。影山のトスの打ちづらさにモノ言いたげな不満そうな表情をしている場面。スガさんの真っ向コミュニケーションに狼狽える所。敵を翻弄した時のしてやったりな顔。

強さを本気で求めにいく山口への戸惑い。自身への問いかけ。

小坂くん演じる月島の色んな表情を見られて、本当に幸せでした。

 

小坂くんが自身のブログで千秋楽の思いを語っているのですが、

試合に負けて烏野が泣き崩れている中、青城は喜んでいて。

その光景をみて、

やっぱり頑張ってもあとから辛くなるだけって

改めてそう思うようにしてました。

と書かれていて、その場の感情に流されることなく、ここに至るまで、そしてこれからの月島の思いを、ちゃんと内に秘めて演じているんだと思って、また涙しそうになりました。

千秋楽の挨拶では、「もう…泣きます!」と宣言して泣いていて、いっそ清々しく、そしてカッコイイと思いました。

ameblo.jp

こんな小坂くんだからこそ、願わくは、月島が前へ踏み出すエピソード「月の出」を演じてほしい。 思わずジャンプ連載時に感想を書いてしまったほどに思い入れがあるものなので。

関連記事:『ハイキュー!!』で変わる人たち - チョコタフと異世界への冒険

小坂くんの解釈した月島が、周囲にどんな感情をぶつけるのかとても見てみたい。 

 

冨森ジャスティン as 東峰旭

旭さんも大好きなキャラクターです。そして、誰がジャスティンの旭さんに文句をつけられるというのだろう…という程、すばらしい。

ビジュアルといい、顔は厳ついのに溢れ出る優しさといい。普段は頼りないくせに、エースとしての度量も見せられる。こんな風に、現実に旭さんを見せられたら好きにならないわけないじゃない、って感じです。

 

ジャスティンの旭さんも色んな表情を見せてくれるのですが、私が一番泣きたくなったのは、田中が及川に連続サーブで狙われて、トスを呼ばなかった場面からの一連のシーン。

俺 今 トス呼ばなかった!!!

一瞬ビビったんだ ちくしょう!!!

田中がそう叫ぶときに、旭さんは苦しそうに俯いていました。ああ、旭さんは、かつての伊達工戦を思い出して、田中に自分を重ねている…そう、思いました。

後悔は試合が終わってからクソ程する!!

大して取り柄も無え俺が てめーのミスに勝手に凹んで

足引っぱってちゃどうしようもねぇ!!!

しかし、続く田中のこの台詞で旭さんも顔をあげて、「うん、そうだ。俺も信じてトスを呼ぼう」という、後輩のことを優しく見守る先輩の顔でありながら、エースとしての自覚を強める凛々しい表情をしていたのですよ。

ただでさえ、田中先輩カッコイイ!な感動的なシーンなのに、大好きな旭さんのそんな姿を見てしまったら、涙を我慢できません…。

チームメイトを労ったり、背中を叩いてチームにそっと喝を入れたりする姿をみては、あぁ旭さんがいる…と感慨深くなっていましたが、このシーンでより、ジャスティンが旭さんで良かった、と心から思えたのでした。

 

◆猪野広樹 as 菅原孝支

スガさんってこんなキャラクターだったのかと、猪野くんの見せてくれたもので腑に落ちた記憶があります。

というのも、スガさんも色んな面を持っていたので、漫画を読むだけでは、キャラクターを掴むことが難しかったんです。相手によって様々な感情を見せるから、情報量が多くて一人の人間に集約することができなかったというか。(それだけ感情が豊かなキャラクターなんだけれども)

それを無理なく表現してくれたのが、猪野くんでした。

 

影山に代わりセッターとして投入されるも、次第に攻撃が通用しなくなってくる第2セット中盤。

監督は影山を呼び、スガさん自身も下げられることを覚悟した場面で、「…あとワンプレー…かな」と、誰にいうでもなく、言葉にする姿は、とても辛かったです。

強がるような弱々しい声だけれども、決して弱いわけではなくて、自分の役割を覚悟して、分かったうえで、ただ、コートに居られない自分が悔しくて、 でもそれを見せまいとする強さと物わかりの良さを感じてしまい、心苦しい。

 

けれども、スガさんには大地さんと旭さんという仲間がいます。

旭さんは、普段はオロオロしているくせに、根っからの心優しきエース気質だと思います。ここぞって時に、本当にいい役割を果たします。

スガ 次の一本 俺に寄越せ

絶対決める

かっこいい、エース、かっこいいよ…!

スガさんは、自分の気持ちを内に留めてしまうクセがあるけど、そこを拾える旭さんの偉大さ。旭さんは普段からチームメイトをよく見ているからね。

そしてスガさんがトスをあげるためのボールは、大地さんが拾う。この、3年生トリオの連携ですよ。

スガさんが仲間を信頼してトスをあげられるのは、この二人とチームを作り上げられたからかなって思います。

「…あとワンプレー…かな」の台詞は、福岡で観た公演で、とても特別に印象に残っている回がありました。

おそらく気持ちが込み上げてしまって、掠れるような言葉になった時があり、その後の旭さんへの返答も、どうにか声をしぼり出しているような感じで台詞を言っていたんです。

それには本当に涙を誘われまして。

こういう瞬間があるから、演劇って面白いんですよね。同じ演目でも感じられるものは違うと、身にしみた瞬間でした。

にこやかで、怒らせるとちょっと怖くて、すこし臆病で、けれど勇敢で、心から優しい人。猪野くんだからこそ、今回の菅原さんを舞台上に生きる一人の人間として自然に演じられたのかな、なんて考えます。

 

須賀健太 as 日向翔陽

この人なしに演劇「ハイキュー」は成り立たないのでは、と思う程に力強い存在です。

▲小坂くんがブログで語っている所と一緒なのが嬉しい。あの場面で、あんな底抜けに明るい言い方、ズルいよね。

台詞に込められた気持ちが圧倒的に強い。

日向の言葉って、試合中の台詞しかり、影山へぶつける台詞しかり、大きな声で叫ぶものが多いんです。一般的に、叫ぶ台詞って、大きな声を出すことに引っ張られて、感情をのせるのが難しいのかなとよく思うんですが、須賀くんはもうさすがとしか言えない。

日向のコロコロ変わる感情が、最後の一言まできちんとのっていて、一つ一つの台詞を大事にしているんだなと感じました。すごく心に刺さるんです。

ツイッターでも呟きましたが、ハイステ全体を通して、日向の「あんな風に~」の台詞は特に好きです。須賀くんの言い方含めて、心を鷲掴みにされる感じがある。

 

日向に関していえば、負けた後の食事シーンでの「謝ってんじゃねえよ!」「…でも、負けました」も漫画を読んだときから好きで、そこにも、須賀くんの考える日向の気持ちが目一杯つまっていて、聞いていて、泣きたいような嬉しいような、そんな気持ちになりました。

遠くから見ていても、大きな演技をしてくれるから、表情も感情も読み取れる。気持ちが伝わってくる。日向の言葉に魂を吹き込んでくれる須賀くんは、キラキラ輝いていて眩しい存在でした。 

 

舞台ならではの『ハイキュー!!』の世界

 千秋楽の挨拶で須賀くんが、「それぞれが解釈してキャラクターを作り上げていった」というようなことを話していましたが、まさにその通りの印象を受けました。

役者さんそれぞれが、このキャラクターがこの舞台上に生きる意味を、考えて見出して、舞台上で表現しているのが伝わる。そんな作品だと思います。

たくさんのキャラクターがいる中、上辺だけのキャラクター性に埋もれず、オリジナリティを発揮している点は、ただただすごいと感じます。それだけ、キャラクターへの愛が詰まって、溢れ出ている舞台なんです。

 

物語やキャラクターの解釈に正解はないから、「舞台化」って難しいと思います。そのまま再現することもできないですし。

以前も「ペルソナ4」を題材に舞台化について色々考えました。今回ハイステを観て、行き着く結論も、同じです。

舞台化って、原作通りにストーリーを運べばそれでいいのかというと、違うと思うのです。原作の要素をベースに、舞台でやる意味や舞台ならではの魅力を盛り込んで構成されることが、理想的な舞台化なんじゃないかと考えています。

関連記事:VISUALIVE「ペルソナ4」を振り返る - チョコタフと異世界への冒険

舞台ならではの新しい面白さを提供するという、私の考える理想の舞台化を、演劇「ハイキュー!!」は叶えてくれて、とても楽しい時間を過ごすことができました。

関連記事:「○○化」を考える - チョコタフと異世界への冒険

 

演劇は特に、映像ではなく、“その空間”で見ることの意味が大きいので、また演劇「ハイキュー!!」の世界と会えることを楽しみにしています。

この先の物語をどう解釈して表現してくれるのか。もっともっと、新しい可能性をみたいですね。

 

“勝者と敗者”も早く映像でみたいなあ。日替わりアドリブ集をぜひに。