チョコタフと異世界への冒険

チョコタフが好きなゲーム・舞台・漫画・アニメ他への愛を語る場所。目指すのは究極のオススメ集。

「役者と音楽家のいるレストラン」でちょっとお食事どうでしょう

あとちょっとでクリスマス。

デートはやっぱり、イルミネーション?そして素敵なお食事?

いえいえ、ここは舞台などはいかがでしょう。クリスマスにぴったりな舞台があるのですよ。

青山円形劇場プロデュース「ア・ラ・カルト2〜役者と音楽家のいるレストランFinal」

今日はその感想です。


演劇でもミュージカルでもコンサートでもない
とあるレストランを舞台に繰り広げられる、クリスマスの日訪れるお客さんの物語です。オムニバス形式で、色んなお客さんが来店します。

ちょっと素敵なマダム、会社のワイン同好会の先輩後輩、ゲスト(春風亭昇太さんでした)、古くからの友人同士などなど…。彼らはお店の料理を食べながら、各々のクリスマスを過ごすのです。どれも、心にポッとロウソクの火が灯るような暖かなお話でした。

物語中のBGMはすべて生演奏!ヴァイオリン、ピアノ、バス、ギターが素敵な音色を奏でてくれます。円形劇場は客席との一体感が特徴的ですが、客席から音楽が流れることにより、舞台空間の中に本当に溶け込んだような感覚。思わずうっとりしちゃうんです。

舞台転換の間は、音楽メイン!楽しげで軽快なのに、心に染み込んでくる楽曲たちでした。誰もが楽しそうに演奏するので、見ている方も楽しくなっちゃう。特に、音楽監督も務めていらっしゃる中西俊博さんのヴァイオリンは印象的でした。正に音楽隊!

間に、役者さんの歌やダンスが入ったりもして、これはにSHOWとか、エンターテインメントって言葉がぴったりです。で、やっぱりそういうのは生で観るのが一番。見て、聞いて、感じて、楽しい。それがこんなにもつまってる舞台は中々ないです。

計算された美しい動き
お客さんの物語ですが、舞台上にいる4人に2人はウエイターさんです。このウエイターの動きがなんとも美しい。

物語の中では、お客さんの話を聞く役割だったり、レストラン業務を行ったりする彼らですが、この舞台の世界観を作ってるのもまた彼らです。

舞台上はレストランが再現されていて、テーブルとイスが4セット置かれ、それぞれに食器等が整えられています。

それを物語ごとに配置するのがウエイターなわけですが、その動きが美しいの一言につきる。流れるように、静かに、淡々と仕事をこなす様に、ドキドキせずにはいられません。ウエイターの制服を見るだけでもキュンとしちゃうのに。

二人で転換を行うときも、それぞれの同じタイミングで、同じ仕事をしているんです。ああ、この様式美は見てもらわないと伝わらないのか!

ワインボトルを開ける、グラスに注ぐ、注ぎ口をタオルで拭う、この一連の動作の流麗さと言ったら!!それが物語の背後で当たり前に行われているから、世界観となるわけですね。

そしてそれを感じられるのは、やっぱり生の舞台だけだと思います。

「人」を形作る要素
役者さんは4人だけの出演ですが、みなさん、それぞれ個性的で楽しいです。中でも、紅一点の高泉淳子さんは印象に残ってます。

彼女の何が凄いって、舞台上で本人の素がどこにあるのか見抜けないところです。

大抵の役者さんって、演じていたとしても、本人のクセが出ると思うんです。悪い意味じゃなくて、個性とも言えますよね。どんな役を演じていても、変わらないベースの部分。

私の場合、結構すぐにそのベースに気づくんです。演じる時の根元に、発声とか、話し方のクセとか、表情の使い方とか。声優さんでもそうかも。声色が変わっても喉は同じだから、声をたどると同じベースに行き着く。

それが高泉さんには見つけられない。初回ならまだしも、以前にもこの舞台見たことあるのに。凄い、ですよね?もう、別人格が提示される度に感動しちゃうんです。

言葉通り、本当に「別人格」です。もはや、台詞、乗せる感情、仕草、だけに止まらない演技をしてるんだと思うんです。姿勢、その役の仕草のクセ、話し方のクセ、間の置き方、など、「その人」を決定づける全てを以って、役を演じていらっしゃるのかなあなんて感じました。

それってよっぽど、人を観察して、想像力豊かにして、自分を知らないと、できないですよ。たぶん。そう思わせるほどの説得力があるんだもの。

もちろんこれも舞台ならでは、だったりします。舞台って面白いことに、舞台上のお約束事を客席と共有できるんですよね。例えば、映像で、女性が男性を演じると違和感が残る。でも不思議と舞台だと、そういう「現実」の中に身を落としちゃうんですよ。それだけ、没入感が強いんですね。


といった感じに、舞台ならではの魅力が、ぎゅっと濃縮された作品です。

しかも、青山円形劇場が閉館してしまうので、今回でなんとファイナル。この楽しさを味わえるのは今回限りなんです。ああ、悲しいことよ…。


私だったら、デートでこの作品に連れて貰えたらすぐ落ちちゃいます。というか、連れて行ってほしい。物語にキュンとして、夜の帰り道、青山を恋人と寄り添って歩く。

ロマンチックー!まあ、相手いないんですけどー!

恋人と観劇したい作品No.1だったのに、その夢は果たせないようです。残念。

恋人がいて、デートプラン決まってない人は、行けばいいんじゃないかな!羨ましいな!この!


それはさておき、本当に本当に素敵な時間でした。終わってしまうのがもったいですが、また次の出会いがあると信じて。

ありがとうございました!

おわり。