役者への興味
先日、とある学生演劇を見てきました。
出演者から裏方まで、ぜーんぶ学生で、何度か公演を行ったことのある劇団です。
感想は、「え、ここまで上手いもんなの?」でした。
小さな劇団が小劇場で上演するものは何度か行ったことがあるのですが、学生演劇は初めてだったため、そのレベルに驚いたのです。
私が想像していたのは、「いかにも」な演劇口調で演技する役者たち、であり、それが苦手なので、心構えをしていました。
もちろん上手い下手の話ではなく、好みの問題なので、否定するつもりはありません。ただ苦手なので観ないだけです。
しかし、勝手なイメージだったのか、時代がそうじゃないのか、たまたま違ったのか、いつも見る演劇のような芝居の仕方でした。演出さんの方向性なのかもしれません。
しかも、私のお得意の若手俳優さんより、よっぽど上手い。演技の幅が広いんだろうなと感じられたし、単純な感情の起伏に終始しないのが良かったです。
そこで疑問に思ったのが、私がいつも観ている演劇の世界において、学生演劇の役者である彼ら、彼女らが活躍する場は、少ないということ。
(あくまで私にとっての演劇世界の中で)キャスティングされる多くが、「いわゆる」イケメンで括られる若手俳優の方々です。その中には当然、舞台が初めての人もいるし、いくつか場数を踏んでいても、決して上手いとは言えない人が多いです。
なんか、不思議だなあと思いました。
もちろんそこには、出演する本人の意向であったり、観客の求めるものであったり、色々影響して、今の形になっていると思いますが。。。
同じ「俳優」として括れるはずが、全く別物の価値を持ち始めている気がするんです。
例えば「演技」という面で見れば、学生演劇で見た役者さんのほうが遥かに価値があります。
一方で、これは一概に言えることではないので今回の場合に限って言えば、「華」という意味では、「いわゆる」若手俳優の方々のほうが惹かれるものがありました。(私の好みの問題もあるかも)
ちなみに、ここでの「華」とは、華やかな雰囲気や、人を惹きつけるオーラを意味しています。
どちらを取る(キャスティングする)のかはきっと、舞台の性質に因るのでしょう。
でもこれ、10代後半から30代前半までの役者さん(しかも男性の)の話だと思います。
学生演劇で見た役者さんって、絶対30代後半くらいからいい味を出してくる人たちなんですよ。
いまは、それぞれ別の価値を持つ彼らですが、いつかは同じ土俵で勝負するはずです。30代後半くらいかな。
その時、「華」を持っていた人が、「演技」でいい味出すようになっているかもしれないし、「演技」でいい味持っていた人が、別の何かを身につけているかもしれない。
役者さんの可能性って面白くて、興味深いです。どんな表情を見せてくれるのか、気になってしょうがない。だから、追いかけてみたくなる。
それが役者さんを好きな理由のひとつです。
単にミーハーとも言えるけど。
今回の収穫は、同世代の役者でも、異なる性質を持った人たちがいると分かったことです。
大きく分かれているのか、それとも上手い人が特別なのかは分かりませんが、自分が何で勝負しようとしているのか自覚できる人が、残りそうな世界です。
難しく考えすぎかしら?
運でポーンと人気出ちゃう人もいるものね。
そのへん、当事者じゃないと見えないこともたくさんありそうだし、そんなこと考えないよっていう人もいそうだし。
全部、私個人の勝手な想像ですからね。何を思って役者を選んだのか、何を考えて役者でありつづけているのか、興味は尽きません。
おわり。